ちょっとの心がけで、食後の眠気とはさよなら! 食べたあとにできる対策も

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Life

お昼休みが終わり、気持ちも新たに午後の仕事を始めたものの、なんだか眠くて集中できない……。実はその眠気、ほんのちょっとの工夫で予防・軽減できるかもしれません。

Writer:坂口 博美 / Illustratior:佐久間茜

目次

  1. 食後の眠気の原因は「血流」と「血糖値」にヒントあり
  2. 大切なのは、消化吸収のスピードを遅くすること
  3. 血糖値の急上昇を起こさないために
     ・食事の間を空けすぎない
     ・ゆっくり時間をかけて食べる
     ・糖質を食べる順番、量を見直してみる
     ・脂質を味方につける
  4. 眠気対策だけじゃない、血糖値スパイク予防

食後の眠気の原因は「血流」と「血糖値」にヒントあり

「食後は眠くなるものだから仕方ない」

最近ではそんな考えがビジネスシーンでも浸透してきて、なかには昼寝OKの会社もあるほどだとか。自分の勤め先もそうあれば最高ですが、まだまだそうではない会社のほうが多いもの。

仕事中に眠い人のイラスト

じゃあ結局は根性で眠気を乗り越えるしかないの!? とお悩みのそこのアナタ。その悩み、科学的にも立証されている方法で、軽くできるかもしれません。

食べると眠くなる現象を引き起こしているのは、「胃腸への血液の集中」と、「血糖値の急降下」のどちらかであることがほとんど。

脳は、十分な血液と酸素、ブドウ糖が揃うことで存分にその力を発揮できますが、食後は消化吸収を助けるため全身の血が一時的に胃腸に集まるので、脳の血流が足りなくなってしまいます。それに加えて、食べ方や食べるものによっては食後に血糖値が急降下し、ブドウ糖までもが不足。すると起こってしまうのが、あの強烈な眠気なのです。

胃に血流が集まるのを止めることはできません。でも、血糖値の急降下についてはある程度コントロールができます。つまり、多少の眠気は仕方がないとはいえ、ひどい眠気は、こちらの心がけ次第でなんとかすることができるんです。

大切なのは、消化吸収のスピードを遅くすること

食事によって血糖値が急降下するきっかけ、それは、食後に血糖値が「一気に」上がること。

食事をすると、胃は食べ物の消化を、腸は栄養分の吸収を始めます。栄養分として身体に糖が取り込まれると、血糖値は上がります。その血糖値が、身体が「正常」と定める範囲を超えると、それを下げるために放出されるのが「インスリン」というホルモンです。

食事によるインスリン値変動の図

ところがこのインスリン、急激に血糖値が上昇すると過剰に分泌されてしまう特性があります。この働きこそが、血糖値の急降下を招く原因なのです。この、血糖値が急上昇したのち急降下する現象は、「血糖値スパイク」と呼ばれます。

血糖値スパイクを起こさないために大切なのは、きっかけとなる血糖値の急上昇を起こさないことです。ゆるやかに血糖値が上昇する分にはインスリンの過剰分泌は起きず、血糖値スパイクも引き起こさずに済むのです。

血糖値の急上昇を起こさないために

そのために効果的とされているのが、下記の4つの心がけです。

心がけ1:食事の時間を空けすぎない

1日3食を規則正しく食べているときには「血糖値スパイク」が生じなかった人でも、朝食を抜くと昼食のあとに「血糖値スパイク」が発生する、という研究結果が出ています。
さらに朝食も昼食も抜いた場合、夕食のあとにさらに大きな「血糖値スパイク」が生じてしまうそう。つまり、空腹が長時間続いたあとの食事は「血糖値スパイク」が一層起きやすくなっているのです。

間食も含めて、理想的な食事の感覚は3〜4時間。どうしても食事の間隔があいてしまう場合、カバンのなかに片手でサッと食べられるものを忍ばせておくのがオススメです。

心がけ2:ゆっくり時間をかけて食べる

1回の食事には、最低でも15分以上は時間をかけましょう。それよりも時間が短いと満足感を得られず、食べすぎにつながってしまいます。昔から「腹八分目は医者いらず」と言いますが、食事を適量にすることは、血糖値スパイクからも私たちを守ってくれるのです。

心がけ3:糖質を食べる順番、量を見直してみる

たんぱく質・脂質・糖質の三大栄養素のなかで、血糖値を最も上げやすいのが「糖質」。この糖質を食べすぎないことはもちろんですが、食事のなかで食べる順番を見直すことでも、血糖値の上昇をおさえることができるんです。

理想的な順番は、「野菜・きのこ・海藻」→「肉・魚」→「ご飯・パン・麺」。

規則正しい時間に食事をするイラスト

野菜やきのこ、海藻などに含まれる食物繊維には、腸の壁をコーティングし、あとから糖が入ってきたときに、その吸収をおだやかにする作用があります。次に食べると良いのは、タンパク質や脂質を含む肉や魚。それらは胃から腸へと運ばれる際に「インクレチン」というホルモンを放出させ、その働きで胃腸の動きをゆるやかにしてくれます。

これらの素材である程度お腹を満たしてから、糖質を多く含むごはんやパンなどを食べれば、糖質の食べすぎも抑えられますし、消化吸収に時間がかかるため、血糖値の上昇をおだやかにしてくれます。

心がけ4:脂質を味方につける

脂質はカロリーが高いので敬遠されがちですが、実は消化吸収に時間がかかるため、最も血糖値を上昇させにくい栄養素です。
パスタなどの洋食と相性のいい「オリーブオイル」をふりかけて食べれば、炭水化物単体で食べるより血糖値の上昇を抑えることができるでしょう。

そのほかにも、脂質ではありませんが、「お酢」も血糖値スパイクの抑制に良いと言われています。小さな容器に入れて持ち歩いておけば、炭水化物が多くなりがちな外食時にも、料理にひと足しすることができますよ。

眠気対策だけじゃない、血糖値スパイク予防

とはいえ、もうお昼ごはんを食べちゃったよ! という方もいらっしゃるかもしれません。でも大丈夫。実はその場合も、まだ諦めなくていい方法があるんです。

それは、食後すぐに運動をすること。運動といっても、散歩などの日常的な動作で十分です。身体を動かすと、胃腸に集まった血液が手足の筋肉にもめぐり、消化吸収のスピードが、ほんの少し遅くなります。すると、食べたものに含まれる糖の吸収にも時間がかかり、その結果「血糖値スパイク」が抑えられるのです。

散歩をする女性のイラスト

食事のあとは身体を動かさずにのんびりしたいところですが、階段を意識して登ってみたり、気分転換も兼ねて散歩してみたりすれば、午後の仕事にもスッキリした頭で取り組めるはずですよ。

ちなみに、血糖値スパイクは、食後に強い眠気を引き起こすだけでなく、倦怠感やイラつきなどの原因にもなることが分かっています。

実はあの世界的企業である「Google」でも、業績評価の指標のひとつに「血糖値」を掲げているそう。血糖値の低下はクリエイティビティの低下を招き、良質な仕事の弊害になると考えられているのです。

また、血糖値スパイクが続けば、血液中に余った糖が体内の組織や細胞にたまり、糖化が進みます。糖化とは、食事などからとった余分な糖が体内のタンパク質と結びつき、細胞を老化させる現象のこと。細胞の老化が進めば、くすみやシミ、シワなどの老化や、骨粗しょう症、白内障、認知症などの病気の原因にもなり得ます。

つまり、食後の眠気を抑えることは、いい仕事につながり、ひいては老化のスピードをゆるやかにしたり、病気の原因を減らすことにもつながるのです。

必要な心がけはどれも簡単で、日常に取り入れやすいことばかり。せっかくならちょっとだけ意識して、より気持ちのいい1日を過ごしてみませんか?

produced by

ライター 坂口 博美

都内在住の編集者・ライター。2007年にキャリアを開始。タウン誌の編集を長く手掛けていたことから、街の紹介や飲食店レビューなどを多く手がける。現在は、旅行やインテリア、ガーデニングなど、個人的にも興味のあるジャンルを幅広く開拓中。

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