「今日の1ど」

nanako / 1℃

Life

伊藤園「おーいお茶 緑茶ティーバッグ」

Writer ナナコ / Illustration ナナコ

冬は、家に着いた瞬間に寒さと疲れがどっと押し寄せる。今すぐごはんを作りたいし、洗濯物を取り込みたいし、クイックルワイパーで床を一掃したい…帰り道に「帰ったらやることリスト」を5項目くらい立てるのに、家に着いた途端、そのリストを頭の中でくしゃくしゃに丸めてしまうのは、きっと私だけじゃないはず。

そんなときは、真っ先にティーバッグのお茶を飲むことにしている。(どれくらい真っ先にかというと、靴を脱いだらすぐにケトルに直行するくらい。)ティーバッグを選ぶ理由は、とにかくすぐに熱いお茶が飲めるから。それ以外に大した理由はナイ。

私のお気に入りは伊藤園「おーいお茶 緑茶ティーバッグ」。値段が良心的なのもあるけど、一番の理由は個包装にプリントされている「伊藤園お~いお茶 新俳句大賞」だ。この新俳句大賞は、1989年から続けられており、毎回さまざまなテーマで老若男女が参加している。あるときは老夫婦のボヤキ、またあるときには小学生のみずみずしい視点、またあるときは親の子供に対する慈しみ…季語も定型も不問だから、表現も形もバラエティに富んでいる。熱いお茶を飲みながら、22文字前後で表現された誰かの生活をぼんやり妄想していると、なんだか心が落ち着いて、寒さで強張った体も不思議とほぐれてくる。

大人になって働き始めると、想像以上に自分に割ける時間は少ない。そのなかで雑多な家事をしていると、ゆっくりぼーっとできる時間はもっと少なくなってくる。だからこそ、家に着いたら一番最初に、10分でも自分のことをあったかく甘やかしてあげたい。今日もおつかれさま、寒くて大変だったね、お腹がすいたね。自分のためにお茶を淹れ、上手かどうかイマイチ判断のつかない俳句をぼーっと眺め、今日の私を優しく温めてあげると、飲み終わる頃には不思議と「リストの3項目くらいならできそうかな…」という気分になってくる。

ここで大事なのは、お茶は1杯に止めること。それ以上おかわりしてしまうと、逆に心身がほぐれすぎて、ウトウトする。けど明日の自分のためには、メイクを落として、洗濯をし、最低でもシャワーは浴びないといけない。…いや、いけないこともないけれど、そっちのほうが良いことは、大人の私たちは経験値で知ってしまっている。だから、二杯目以降は、リストを一つでも実行してから。甘やかすのも、律するのも、大人は自分でやらなきゃいけないから大変だ。

(ちなみに、輸入食品店で売っているような外国語のパッケージのお茶もおすすめ。何語かわかってもわからなくても、どちらにせよ読めない細かな文字と写真を眺めながら、異国のお茶畑に想いを馳せると、なんだか小旅行に行ったような気分になる。)

produced by

Writer ナナコ

美大卒業後、雑誌編集を経て、現在はフリーのライターやイラストレーター、ADとして活動。
インスタ: @nnk0107

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